新型コロナウイルスの感染拡大の影響で低下した有効求人倍率は回復傾向にはあるものの、いまだ低水準で留まっています。

2022年3月分の正社員有効求人倍率は0.94倍で、2020年1月には1.07倍を記録していた倍率には届いていない状況です。

ワクチンの摂取が進み、感染状況が減少傾向にあるとはいえ、有効求人倍率の回復にはまだまだ時間を要するものと予測されます。

こうした社会情勢を踏まえた上で、ウィズコロナ時代の人材派遣にはどういった役割があるのか。

今回はウィズコロナ時代における人材派遣業界について紹介いたします。

人材ビジネスにおける新型コロナウイルスの影響

新型コロナウイルスによる影響は日本の経済にも大きなダメージを与えています。

中でも、人材派遣は景気に左右される業界です。

好況時は企業が人手を求め、採用活動が活発化するので企業と登録スタッフ(求職者)がマッチングしやすい傾向にあります。

また経営状態に余裕がある企業は、人材の育成面でもコストを捻出できるため、未経験者であってもポテンシャル採用が積極的に行えます。

よって、人材派遣業界にとっては求人数を確保しやすいのです。

一方、景気が不安定になると、企業の採用数は大きく減少します。

よって企業と求職者のマッチングの難易度が格段に上がり、人材派遣業界の売上はかなり落ち込みます。

ウィズコロナ時代の人材派遣業界の役割と社会的価値

ウィズコロナ時代の人材派遣業界にはどのような役割があるのか。

まず短期的には、できる限り求人数を獲得することが大切な役割でしょう。

テレワークなど今までとは全く違った働き方が増えてきており、多くの企業が不要な部署や人材を削って経営のスリム化を図っています。

一方で、コロナ禍においても積極的に採用を続ける企業も存在します。

求人数を確保し、厳しい雇用情勢の中で1件でも多くマッチングを成立させることは人材派遣業界が担う社会的役割の1つです。

中・長期的な役割

中・長期的には企業が様々な人材を活用できる環境を整備することも、ウィズコロナ時代の人材派遣業界の重要な役割です。

のちに説明しますが、企業が求めるのは若くてハイスペックな人材に偏りやすく、中高年の再就職などは難しいのが現状です。

また、日本の労働力人口は年々減少しており、未経験者や中高年を労働力としてどのように評価し、企業とのマッチングを成立させるかは人材派遣業界に問われる大きな課題です。

人材派遣業界の弱み

人材派遣 名古屋 東京

先ほど人材会社の役割について短期的には、できる限り求人数を獲得することが大切と、述べましたが、求人数だけを獲得しても、人材派遣業界の売上には繋がりません。

企業が求める人材を、派遣スタッフとして獲得することも重要です。

そして、求職者集めは人材派遣業界の弱みにもなりやすい箇所です。

人材派遣業界の今後の先行きを考える上で、念頭におくべき人材派遣業界の弱みを説明していきます。

労働人口の減少は避けられない

労働人口の減少は、経済の緩やかな衰退も意味します。

人材派遣業界にとっては、求職者・求人者の確保が今後徐々に困難になっていくでしょう。

その上で一般的に企業は、経験豊富な20代中盤から30代前半の若い人材の中途採用を求めます。

業務経験があることで育成コストが低くなり、なおかつ若手であることから長期にわたって活躍が期待できるためです。

特にITエンジニアなど、恒常的に人材不足に陥っている業種・業界では、多くの企業が似たような人材を求め求人を出している状況です。

このように、企業が求める人材には偏りがあります。

「どの企業も欲しがるようなハイスペックな人材」を獲得し続けることは非常に難しく、労働人口が減り続ける中では、これからより見つけづらくなるでしょう。

アフターコロナによる人材派遣業界の今後の展望

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最後に、アフターコロナの人材派遣業界の先行きについて説明していきます。

主役が「人材」であることは今後も変わらない

人材派遣業界の主役は、もちろん人材です。

つまり、人材派遣業界は人材にもたらす利益・価値を最大化することが本質であり最たるものです。

人材一人一人のキャリア設計を手伝い、足りないスキルや経験があればそれを明確化し、その人が望むキャリアを実現するための適切な求人紹介や面接対策を提供する。

もし、その人の望むキャリアにとって転職がマイナスとなるならば、現在の会社に残ることを提案するのも派遣会社の大事な仕事です。

SNSが発達した昨今ではそれを活用したダイレクトリクルーティングといったサービスも誕生し、求人サイトに書かれている程度の情報しか提供できない人材派遣会社は、そう言ったものに人材や仕事を奪われ、消失していくことでしょう。

人材派遣業界の「公共性」も考える

人材派遣業界は、公共性の高い職業です。

企業に対しては人材活用のアドバイスをし、求職者に対してはキャリアコンサルタントとしてスキルアップを手伝うポジションにあり、社会全体の就業率を高めることが期待される仕事であるためです。

しかし人材派遣会社が利益ばかりを追求してしまうと、企業と人材のミスマッチが頻発してしまいます。

そうなれば社会の就業率は高まらず、減少し続ける労働人口の有効活用も行われません。

目先の利益だけでなく、社会全体の労働人口を活用するという原点に立ち返り、人材活用のあり方について考えることも大切です。

時代は「個」に移っていく

コロナによって注目された雇用形態の1つに「ジョブ型雇用」があります。

ジョブ型雇用とは業務内容や給与形態を明確に提示し、そのポストにあった最適な人材を雇用するというものです。

業務内容や給与形態が明確になるという反面、その業務がなくなればそこで雇われている人材は解雇されるリスクが高い面も持ち合わせております。

終身雇用が形骸化し、コロナ禍で普及したテレワークが今後も定着する可能性が高いなか、人材の流動性はこうした「ジョブ型雇用」やノマドワーカー・フリーランスの増加によってより高まっていくでしょう。

日々労働者の労働環境が変わりゆく中、企業は多様な人材をどのように雇用し、活用すべきか。

人材派遣を手がける事業者には、よりレベルの高い採用コンサルティングも求められることでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回はウィズコロナ時代の人材派遣業界の社会的役割や展望をまとめました。

人材派遣業界は、人材資源の有効活用や経済の活性化に繋がる大切な業界です。

コロナ禍で今までと働き方が大きく変わる中、社会全体の就業率を高める役割が期待されています。

また企業に対しては人材が流動化する中で、多種多様な人材をどのように雇用し、使いこなすかをコンサルティングする役目も今後は求められていくでしょう。

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